生地の二次加工の種類
生地に関する基礎知識として、生地の二次加工の種類をご紹介します。
□ ボンディング加工
ボンディング加工とはbondingと記述し、「接着剤(ボンド)で接着」する加工技術のことを指します。
ボンディング加工の基本は二種類の異なった生地を接着剤で張り合わせて、一枚の布にするという加工技術です。異なる素材を一つにするために、新しい特性を持った素材を作り出すことができる応用範囲の広い技術だと言えます。原材料から新素材を作り出すよりもコストがかからず、ボンディング加工を行った素材に対してさらに加工を行うことにより、多彩な素材を作り出すことが可能となります。
□ ウレタンコーティング加工
ポリウレタン(ウレタン樹脂やウレタンゴムとも呼ばれる、合成ゴムの一種)を生地表面に張ったものを指します。ウレタンコーティングを行うと、耐油性、耐摩擦性や伸縮性に優れていますが、耐熱性や耐水性は低くなってしまいます。ポリウレタン加工した生地は、熱に弱いという短所があるので、服を作る際の芯地は低温接着が可能なものが必要です。又、ポリウレタンの伸縮性を損なわない為に、ストレッチ性のある芯地を選定する必要があります。
□ キルティング加工
保温、防寒、装飾などの目的で、表布と裏布の間など2枚の布の間に、綿や毛の芯をはさみ、ステッチで押さえたものを指します。生地を丈夫にする、保温効果が高まるという機能面と、浮き彫りになった立体的なデザイン効果の装飾的デザインを楽しむことが出来るという、2つの効果があります。
□ ラミネート加工
PVC(ポリ塩化ビニル)やポリウレタンなどの薄いシートを生地に張り合わせる加工のことを指します。その接着方法には接着剤を使用するものと、熱によって接着を行うものがあります。貼り合わせるシートはさまざまですが、発泡ウレタンなどを使用した場合には、防寒衣料やカーペットなどに利用されることもあります。 機能面では防水性があり、水濡れしにくく、汚れにも強いという特徴があります。また、接着芯を貼らなくてもしっかりとした仕上がりになり、断ちはしの処理も必要ありません。
□ 型押し加工
エンボス加工とも呼ばれ、皮革や布地に凸凹模様を彫った押し型で強圧し,浮き出し(エンボス)模様をつくる加工方法のことを指します。合成繊維製品は型押しとともに加熱を行いますが、レーヨンや木綿などは生地に樹脂加工を施したあとに型押しを行い、加熱を行います。型押し加工を行うことにより、通気性や、放熱・吸熱・断熱・保温効果の向上という効果が得られます。
□ ウォッシュ加工
シワ加工とも呼ばれ、自動反転する洗浄機(ウォッシャー)に入れて、熱処理を行うことによって、シボを寄せたりシワをつけたりして柔らかくする加工方法のことを指します。ジーンズ製品の洗いの大半はこのワッシャー加工が施されています。初めから洗濯したてのようなカジュアル感があり、自然な小ジワやよれっとした柔らかさが表現できるため、カジュアルウェアにも取り入れられています。
□ リップル加工
薄地ものに波系の仕上げ加工をおこなったものを指します。部分的に強く縮ませることによって凹凸をつくり出すもので、リップルとは「さざなみ」を意味します。綿やレーヨンなどのセルロース系の生地の場合には、強アルカリ性の苛性ソーダなどで強く縮ませることで作ることができます。凹凸があるので、肌に触れる面積が小さくなり、夏の洋服や寝具に使われることが多いです。
□ 糊付け加工
糊付け加工(樹脂糊付け加工)とは、生地を指示された風合いに仕上げる加工のことです。風合い調整には糊付けと樹脂加工があり、以前までは糊付け加工は澱粉糊を使用し、樹脂加工と区別されていましたが、現在はポバールという化学糊を使用されることが多いです。糊付け加工を行うと耐摩耗性、すべりの向上にもなります。
□ 貼り合わせ加工
貼り合せ加工は別名、突き合わせ加工とも呼ばれ、バッグや袋物によく利用されます。主にバッグの持ち手の部分(ひも)などを作るときに用いられる加工方法です。
特殊な金具を専用の機械に装着し、生地の真ん中で隙間なく折り返された状態(突合せ状態)にすることを貼り合わせ加工と呼びます。また、中に芯を入れ折り返すことも可能です。
□ パンチング加工
パンチング加工とは、生地に穴をあける加工技術のことです。パンチングすることにより生地に違った風合いをもたらすことができます。